月がきれい 12 それから
千夏、玉砕。キリ!とした顔にちょっとドキッ!としたが、まあ結果こうなる事分かってての告白だろうし、直後に高校でもよろしく言えちゃう気さくさ。尤も後で1人になって泣いてるかも知れないが、そういうのは置いといて、実に彼女らしい。そして茜ちゃんに隠さず報告するとこも千夏らしいw


その千夏の告白を切欠に、それまで溜まりに溜まった不安が遂に爆発した茜ちゃん、号泣。飛び石と川岸に分断されるカップル。不安定な茜ちゃんと、茜ちゃんのいる飛び石に飛び乗る訳にもいかず、例え手を伸ばしても届かない小太郎。絶妙な距離感で、どうしていいのか分からない状態の2人。そして茜ちゃんが岸に飛びのりキスするも走り去ってしまいます。好きという気持ちで壁(川縁の壁で表される)を飛び越えて同じ場所にいれるのに離れていく2人。意表つかれて茜ちゃんの俊足に置いてけぼりの小太郎。


そんな小太郎が茜ちゃんが乗る電車を追いかける、我武者羅で鈍臭く走るシーンは、ズドンと胸に響くものがございました。こういう走るシーンというのは、これまでは茜ちゃんの専売特許の”茜ちゃんのエリア”(過去の記事にも書いた)。今までその”茜ちゃんのエリア”に入る事無く見守るだけだった小太郎が、遂に”茜ちゃんのエリア”に踏み込んだんですね。しかし、我武者羅に走り愛を叫ぶも、茜ちゃんに届く訳もなく電車は走り去り、またもや置いてけぼり喰らう小太郎。


ですが、踏み込んだのは小太郎だけでなく茜ちゃんも同じでして。『小説』というのは”小太郎のエリア”であって、今まで茜ちゃんが小説を読んでるシーンなど全くありません。小太郎が愛を叫ぶ時、茜ちゃんはその”小太郎エリア”に踏み込んでいた訳で、小太郎の言葉をちゃんと受け取ってました。お互いに相手のエリアに踏み込んだ2人。直接的でなくとも想いは確かに繋がってて、感動的。危うく泣きそうになった(泣いた)。


そんな別れから『それから』の怒涛の答え合わせ、一気にハッピーエンドへ。それをやるだけの力強さはあるし良い演出とは思うが、文学、小説について描写が一切無いのは何でだろ。小太郎は小説辞めたって事かしら。散々サブタイとか太宰が~って文学推してたのに、最後の最後にそれ無くすのはどうなの。リアルに描いたのかも知れないが、個人的に小太郎は小説書いてて欲しかった。残念。


まあ、ともかくハッピーエンドで良かった。ぶっちゃげ、小太郎くんの行動がやや強引だったり「え、そんな流れでもないんじゃ…」みたいな事もあった気がするが、そういったものを払拭する瑞々しさ、初々しさに溢れる作風で問題なく見れた。これほどの純愛を描いた作品を他にちょっと思い出せないなあ。兎に角ハマって、今期でも一番毎週楽しみだった。傑作。
- 関連記事
-
-
月がきれい 12 それから 2017/07/01
-
月がきれい 10 斜陽 2017/06/19
-
月がきれい 09 風立ちぬ 2017/06/09
-
月がきれい 08 ヰタ・セクスアリス 2017/06/03
-
月がきれい 07 惜しみなく愛は奪う 2017/05/27
-
